古賀健太

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それにしても、 こんな部がよく続くよなぁ と、俺は心の中で苦笑しながら、 テーブルを囲んで座る 後輩三人に目をやった。 高校二年の夏に 当時仲が良く、モテない友人たちと 面白半分で作ったのが、この『モテ部』だった。 最初は五人ほどだったが、後輩などにも広まり、 多いときには確か十四人にまで増えたと思う。 しかし、そのうち彼女ができ、 一人また一人とモテ部を卒業していった。 自分と同じように、高校は卒業しても モテ部を卒業できなかった奴が他に二人いた。 だが、大学に入学するとすぐに相手ができたらしく、 俺が最後にそいつらを見たのは、 自慢げに送られてきた 彼女とのプリクラ画像だった。 そして、 卒業しても しぶとく在籍しているのは 俺一人だけになってしまった。 別に今まで 何もしてこなかったわけではない。 でも、告白してはフラれ続け、 ついには自分に自信が無くなっていた。 まぁ、他にも理由はあるが、 最近は自分のことよりも 自分を慕ってくれている後輩三人を 部の名前通り助ける立場になることの方が多かった。 「そういえば、優。 四月に告白した娘はどうなった?」 俺は、正面に座っていた 天野優に聞いた。 本当はGW中に集まりたかったのだが、 俺のバイトが忙しく休み明けにこうして集まって 結果を聞くことになったのだ。 他の二人も、優の方に注目していた。 右に座っている大輝は真剣な顔をしていたが、 左に座る正は、何となくニヤニヤしているように見えた。 優はあぐらをかいている膝に手をつき、 頭を下げて答えた。 「ダメでした!」 答えを聞いた瞬間、大輝は「マジかよ」 と言いながら後ろに倒れ 俺はため息をつきながらうつむき 正はニヤニヤしたまま優の肩を叩いていた。
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