古賀健太

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「ボクがそんなに行動的だった記憶ある? 優たちと違って、女子の友達なんて ネットと二次元にしかいないよ」 正は呆れたように答えた。 正が言った二次元とは、 アニメやマンガやゲームのことで オタクの正はそういうものに関して ものすごく詳しかった。 ちなみに、ここにいる全員が 正に恋愛シミュレーションゲームを 貸してもらった経験があり、 全員でプレイして 誰の選択肢が正しいかというアホみたいなことをやった。 大輝は最初そんな類のものに対して引いていたが、 いざやってみるとハマったらしく 「実際に女と話すときの 勉強になる」 などと言っていた。 もっとも、 実際に女性と話すときは 会話中に選択肢なんて出てくるわけないから、 無駄といえば無駄なんだが。 優は、正の返答に 「ごめん、忘れてた」と笑いながら返すと、 今度は大輝の方を見た。 「女と遊びには行った。男女合わせて五人でカラオケに行った」 と、大輝はぶっきらぼうに言った。 俺も残りの二人も「おお!」と声を上げた。 「で、どうなんだ?  手ごたえはあったのか?」 俺が聞くと、大輝は首を横に振りうなだれて答えた。 「いや、結果はいつもと同じっていうか むしろ悪かったっていうか……。 何を話したらいいか分からなくて、 自分からは何もできなかったんすよ。 で、話しかけてきた女がいたけど、 話が合わなくて。 イライラしたから、ちょっと強めに言ったら 泣かれちまって」 大輝が話し終わると、俺たちは三人同時に 深いため息をついた。 「それは、また一段と悪い状況だね」 「まぁ、そんなに落ち込むことはないからな。 次がある」 「ありがとうございます。兄貴」 俺は、大輝の背中を叩きながら言った。 大輝は、女性との付き合い方が この中でも特に下手だった。 三つ下の妹がいるくせにと、俺達で言ってやったこともあった。 (モテ部で女性の兄弟がいるのは大輝だけだった) だが、大輝は家族と他人は違うと言う。 しかし、今回もそうだが 一番の理由は、大輝が自分の見た目の怖さを 自覚していないことだと俺は思う。
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