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流れ星が消えないうちに、願い事を三回唱えると、その願いが叶うという。
誰が言い始めたのか知らない。
その信憑性もあまりない。
だけど、願わずにはいられない。
「私の願いを叶えてください」と。
その願いがかなってもかなわなくてもいい。
ただ、誰かに願いたい。
そして、知ってもらいたい。
きっと、これだけ長い間語り継がれるのには、理由がある。
もしかしたら、願いが叶ったひとが、どこかにいるのかもしれない。
そして、ここにも一人、今まさに願い事をしようと、夜空を見上げる女の子がいる。
◇
渚は、部屋の窓から夜空を見上げて、流れ星を探す。
それでも、かれこれ三時間が経過。
ようやく見つけた流れ星は、願い事を唱える間もなく、あっさりと消えて行った。
「願い事言えた人なんているの?
流れ星のばかぁぁぁっ!
もっと、ゆっくり落ちろっ!」
その言葉が届いたのか、夜空にひときわ輝いた星が、ゆっくりと落ちてきた。
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