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片田舎のホテルにしちゃ小綺麗でそこそこ広い部屋に俺と外人のおねえさんは入ると、俺は早々に窓際に陣取り、おねえさんは俺の腕を離してベッドの上に腰掛ける。
「んーと、まずあんたの名前から教えてくんね?できればスリーサイズも」
「私の名前はクリスティーニ・シルフィトレック。長いでしょう?だから、クリスと呼んでちょうだい」
スリーサイズは別料金、大体の目星はつけてるモノなんでしょう?男の人は。とクリスに悪戯っぽく言われて教えてもらえなかったので悔しそうに、さあ?と返しておく。
多分、偽名だろうけど、しばらくはクリスという名前を聴くと、彼女を探してしまいそうだなと思うくらいには魅力に取り憑かれている自覚がある。
「Mr.御劔に依頼したいのは……『ヒーロー殺し』。私が接触してきた時点で既に予想はしていたでしょう?」
ここから俺とクリスは専門用語、業界用語で御仕事について話し合うことになる。
「んあぁ、そうでなかったらどうしようかと必死に無い頭を捻っていたよ。
でもって、大事なのは『ヒーロー』の誰を殺してほしいか、だ。誰でもいいから数を殺せ、って依頼は御断りだからな」
「存じ上げているわ、Mr.……。
日本のある大企業に雇われている『ヒーロー』と言えば分かって戴けるかしら?」
「有名処だとヒーロー、『グリーンバレット』と『エイティエイト・ビー』、政府非公認の奴だと『ベビーアイアン』がいたか」
「流石はMr.御劔」
「世辞はいい、俺はどいつをやればいいんだ?それとも今挙げた奴以外に新しく雇われたのがいるのか?」
「……脱帽しましたわ、Mr.……。
あなたの考えられている通り、新規参入した雇われヒーローを世に公表される前に抹消して戴きたいの」
「……そいつの名は、それと何処まで情報は入手している?」
「『エバーライト』、性別は男と断定。HERO連盟には名を登録していたものの、どの勢力にも属さないフリーランスのヒーローよ」
詳細の資料と件のヒーローの映った写真を受け取り、粗方目を通すと何故俺に依頼してまで『エバーライト』という奴を消し去りたいのかを理解する。
思わず笑いがこぼれ、俺の表情筋がニヒルな笑顔を形成するのを見たクリスは息を呑むのが分かる。
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