金を借りた訳じゃない、俺はプライドを売ったのだ

6/6
前へ
/6ページ
次へ
     どういう趣味なのか聞きたい気持ちはあったがしかし、今はそんなことを話している場合ではないだろう。それよりも重要性が高い問題がある。 「そういえば、さっきの男はもう見えませんが大丈夫なんですかねぇ……」 「あ!?……やっぱり近くには流石にいなさそうですね」 吹っ飛ばされた衝撃で忘れていたのか、すぐに耳を澄ますような仕草をして辺りも見回すがそのうち諦めたように肩を落とす。 「逃がして平気なんですか?」 かの有名なピースライトが追っていたような男である。ただ者ではない、そんな予感がした。 「ま、まぁ別に捕獲命令が出てたわけじゃないので平気だと思いますよ」 「え?じゃあなんで追いかけていたんですか?」 緊急時を除いて、基本的にピースライトは命令以外では動かない。それは彼らの力が強力すぎるが故にである。 例えば銀行強盗が金を多く奪い、人質を持って逃走したとしよう。それをピースライトが止めに来たとする。この時、一番危険なのは強盗犯もしくはその近くにいる人質だ。 それは何故か?答えは簡単だ。先ほどにも述べたように強すぎるのだ。 化け物ーーーつまりアンダーと戦いを主とする彼らはその力を人に向けるのがとくいではない。普通にしていれば、いきおいあまって殺しちゃいました!てへっなんてこともあり得るし、逆に力を抜きすぎてしまってはこっちが殺される。 丁度よい力加減が調整できるのもおそらく戦い慣れているものぐらいだろう。そしてそういった者たちはわざわざ危険なところへは行かせられない。まぁ、最近はそうは言ってられなくなってきたのだが……
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加