金を借りた訳じゃない、俺はプライドを売ったのだ

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「はぁ…はぁ…つ、疲れた……ここまで、来れば大丈夫か……?」 かれこれ走り続けて30分はたったであろう。彼の膝は遂に笑いだしてしまった。汗は滝のように流れ、暑い夏の太陽はまだ頭上にある。 「全く…散々な目にあった、な……」 どうやら郊外の川まで来たようで倒れるように河川敷の斜面に寝転がると土の冷たさを少し感じることができ、それが気持ち良い。 あの祭りの騒がしい音がほとんど聞こえなくなり代わりに心臓の激しい鼓動が脈を打つ。 「はぁ…はぁ……やっと、追いつ、めたぞ…」 逃げ切れたと思ったのも束の間、休む暇もなく俺の視線の先に影ができる。 顔を上げて見ると年上受けのよさそうなイケメンだった。 「な…!?う、嘘だろ……!?」 だがそれはーーー 街で見た警官とは明らかに違う。 「へ、変態だ!!」 黒い髪に整った顔立ち、しかし身に纏うは制服などではなく、ヒーローを主張するかのような赤いピチピチのタイツに黄色いマント……誰がどう見ても変態だ。 「え!?い、いや……」 「うわぁああああああああ」 「市民が助けを呼ぶ声!?どうしました!?大丈夫ですかぁぁ!?」 叫び声を聞いて、近くをパトロール中であったのであろう中年の警官が駆けつけてくれた。
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