第1話

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「この学校で、かっこよくて、親切な男の子って誰だと思う?」 「……何、それ」 あんちゃんは笑いながら首を傾げた。 そして何か思いついたように、にやりと笑う。 「恋人探し?」 あんちゃんの口から出てきた言葉に、慌てて首を振った。 「ち、違うよ!」 「あっはっは、あおい、顔真っ赤!」 私の様子がおかしかったのか、あんちゃんは豪快に笑った。 片手で自分の頬を押さえてみると、確かに少し火照っている。 あああもう、なんでこんな……もう、恥ずかしい。 聞き方が悪かっただろうか。 俯いて自己嫌悪に陥っていると、「うーーーん」と悩むようなあんちゃんの声が聞こえてきた。 顔を上げると、彼女は右手を顎に添えてきょろきょろと視線を動かしている。 「どうしたの?」 「んー? あの人とか……」 私の問いに、あんちゃんは視線を一点に定めて言った。 「そんな感じじゃない?」 あんちゃんが顎をしゃくった方を見ると、ちょうど信号が青になってこちらへ向かってくる生徒たちの中で、ある一人の男子生徒の姿が目に入った。
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