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「この学校で、かっこよくて、親切な男の子って誰だと思う?」
「……何、それ」
あんちゃんは笑いながら首を傾げた。
そして何か思いついたように、にやりと笑う。
「恋人探し?」
あんちゃんの口から出てきた言葉に、慌てて首を振った。
「ち、違うよ!」
「あっはっは、あおい、顔真っ赤!」
私の様子がおかしかったのか、あんちゃんは豪快に笑った。
片手で自分の頬を押さえてみると、確かに少し火照っている。
あああもう、なんでこんな……もう、恥ずかしい。
聞き方が悪かっただろうか。
俯いて自己嫌悪に陥っていると、「うーーーん」と悩むようなあんちゃんの声が聞こえてきた。
顔を上げると、彼女は右手を顎に添えてきょろきょろと視線を動かしている。
「どうしたの?」
「んー? あの人とか……」
私の問いに、あんちゃんは視線を一点に定めて言った。
「そんな感じじゃない?」
あんちゃんが顎をしゃくった方を見ると、ちょうど信号が青になってこちらへ向かってくる生徒たちの中で、ある一人の男子生徒の姿が目に入った。
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