夢枕

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夢を見た。 詳しい内容は覚えていない。 ただ、目を開けると深智さんがいた。 額に触れていた深智さんの少し冷たい手が何となく心地好くて。 一瞬これも夢なのではとも思ったが、現実だったみたいで。 そこから一連のお姫様だっこ~おでこゴツンまでもうキャパオーバー過ぎて辛い。 何なんだホントにあの人!! 「もう無理」 水枕がたぷんと揺れる。 あんなことしといて水枕を平然と持ってきて。最終的に「お粥に卵入れる?」ですよ。 「……お粥どころじゃないよ」 深智さん的にはいつものことなの? 前から思っていたけれど、いちいち距離が近い。 拒めばいいのに拒めない私も私だ……。 「さっきまでのこと全部夢だったらいいのに」 天井のポスターのユーリさんと目が合う。 ユーリさんが恋人なら、記憶を失う前の私にとって深智さんってどんな存在だったんだろう 答えは日記帳には書いていない。 結局、自力でなんとか思い出すしかないのだ。
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