-始まり-

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(クソッ!なんで俺がこんな目に…!) 話は数日前にさかのぼる。 -1- ネットゲーム「キリング:キャッスル」。 日本発祥のネットゲームで、ユーザーは20万人以上。 全世界だと軽く100万人を超える、大人気のネットゲームだ。 TPSスタイルを基本とした、対戦型のゲームだ。 ルールは簡単、かつ単純だ。 3人でパーティを作り、相手と戦って勝つ。ただそれだけの簡単なゲーム。 あくまでパーティと言えど、実際は一人で戦う個人戦だ。 3人のキャラを作り、育て、そして最強を目指す。 キャラを作るときには、必ず職業というものを決めないといけない。 具体的には、近接攻撃が得意なファイター、射撃を得意とするガンナー、その両方の利点を持つが、攻撃力が低いオールラウンダーに大きく分けることができる。 この3つの特徴を持つ職業をうまく組み合わせて、チームを作らないといけない。 実はここが一番の悩みどころでもある。バランス良く組み合わせなければ、バトルに勝つことさえ難しくなる。 更にこのゲームではプレイヤーレベルというものが存在する。 このレベルというものは強さの尺度だけでなく、バトルに勝利した際の賞金の額にも関係する。 現在確認されている最高レベルは128だしかしこれは世界を含めての最高だ。日本だけだと恐らくは85レベルくらいだろう。 世界のレベルが高すぎるため、日本のユーザーが増えていないのが難点である。 …俺がこのキリングキャッスルを始めたのは、つい最近の事である。 先にこのゲームをやっていた友達に誘われ、最初は嫌々ながらやっていた。 しかし、これにはまってからは、毎日のようにプレイしている。 気がつけば友達のレベルを追い越し、日本では数少ない70レベルに到達していた。 ここまで来てしまうとレベルを上げるのは困難になってくる。 しかも、世界の高レベルユーザーとバトルをしないといけないため、勝つことすらままならなくなってくる。 バトルに勝てなくなり、キリングキャッスルを引退しようとしていた俺宛に、一通の手紙が届いた。 …これが悲劇の始まりになるなんて、思いもしなかった。
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