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ぽつりぽつりと話しながらも、稜が後ろから「おーい!」って。
大きく手を振り駆けよってくるような、そんな気がオレはして――。
まだ半ば期待してさり気なくのろのろ歩いては、不自然に振り返る。
「変わった様子は?」
「無かった……と思う……」
思い出せ。稜はサインを送ってた? 見落としてしまったのだろうか?
頭の中の抽斗に何か隠れていないかと、注意深く順番に抜き差ししてはみるけれど……。
やたらと背後が気になって、オレは再び視線を投げた。
でも稜は、やっぱりどこにもいなくって――。
少し伸びた影だけがオレ達の後ろから思いなしか寂しげに、二つゆらゆら並び立ち、付いてきているだけだった。
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