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 背の高いヤシの木が母屋(おもや)をとり巻くように植樹されている。三階建ての建物は養成高の校舎くらいのおおきさがあった。あちらはなんの工夫(くふう)もない箱型で、こちらは巨大な貝が口を開けたような形をしている。きっと建築費は数十倍はかかっているのだろう。  遠くの山並みを臨む山荘の正面は広大な芝の広場だった。テニスコートと大小のプール、フットサルのフィールド、アーチェリーの弓場、それに進駐官用だろうか屋外のウエイトリフティング施設まである。 「なんだよ、しけた顔してんな。せっかくの夏休みだし、こんな天国にきてるんだから、ちょっとは元気だせ」
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