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 ジョージはそういうとゆったりとあたりを眺(なが)め回した。一見豪華なリゾート施設のようだが、この別荘は東園寺家のものだ。進駐官の名門、近衛四家のひとつである。花咲く植栽のあちこちに監視装置や射撃ロボットが隠されていた。Tシャツや短パン姿でぶらついている施設の男たちは、やけに胸板が厚く、ごつごつとした拳をしていた。腕のいい警備員なのだろう。 「だけど、スリランたちがなにをされてるかと想像すると、気分が悪くなるんだ」  タツオは正直な若者で、心の中身と顔の表情をずらすことができなかった。 「こんなところにきて、ずっと深刻な顔をしていたら、自分は重大な問題を抱えていますと叫ぶようなものだ。きみは文化進駐官志望だったな」
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