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タツオは戦闘が嫌いだった。軍事進駐官など論外である。金勘定(かねかんじょう)が仕事の経済進駐官も、法で人を縛(しば)る法務進駐官も気がすすまなかった。残るは進駐官のなかでも最下層の軟弱者と馬鹿にされる文化進駐官だけである。
「そうだよ。悪かったな」
ジョージはヤシの葉を揺らす風のように微笑(ほほえ)んだ。
「だったら、なおさら腹のなかではなにを考えているかわからないタヌキになる訓練が必要だ。外交は厳しいぞ。文化進駐官の戦いが、軍事進駐官よりも優しいと思っているなら、勘違(かんちが)いだ」
クニがアロハシャツを脱いで、手近なデッキチェアに投げた。
「おれはむずかしいことはわかんないけど、こんなチャンスを逃すなんてもったいないからな。いっしょにプールに跳(と)びこもうぜ。女たちが待っている」
テルが猛烈に僧帽筋(ぞうぼうきん)の盛りあがった上半身を露(あら)わにした。わー、すごい。プールサイドの女子生徒から声があがる。
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