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「おれもいく。タツオ、息を抜くときは抜け。嫌でもつぎの戦いはやってくるんだからな。そんなに始終ぴりぴりしてたら、身体がもたないぞ」  3人のいうとおりかもしれない。タツオもTシャツを脱ぎ、トランクス型の水着になった。あの青い水面に跳びこんだら、冷たくて気もちがいいことだろう。汗を流して、気分を換える。スリランのことはまた夜、考えよう。タツオが飛びこみ台に上がったときだった。時が止まったように周囲のざわめきが静まった。誰もしゃべらないし、水を跳ねたりもしない。その場にいる者の視線がひとつの方向に吸い寄せられた。タツオも誘われるように、視線の先を追った。
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