御影の如く

外界へ

軍を下手に動かせば騒ぎになる。

どんなに隠密に動こうとしてもマスコミ共がすぐに嗅ぎつけてくる。

いつの世もマスコミというのは厄介な集団だ。

あることないことを面白おかしく書き立て、市民に好奇心と不安を抱かせる。

軍への不信活動が活発になったのもマスコミが触れ回っているという憶測まである。

だからこそ俺たちみたいなはぐれものにお鉢が回ってきたのだ。

正規の軍隊だが正式には存在しない部隊、それが俺たちだ。

もちろんマスコミたちも俺たちのことを何度も記事にしようとしていたが、軍の徹底した機密保護によりまったく情報が掴めないため諦めている。

…らしい。

上層部の人間が言っていたことなので本当かどうかも疑わしい。

権力者はは自分たちにとって想定外の事は認めず、都合のいいように解釈するきらいがあるからだ。

しばらく待っていると、ピンポーンとホールに甲高い音が響き列車の到着を知らせた。