外界へ

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一日に二度の往復しか運航しない列車だが、誰の趣味だか知らないが昔の蒸気機関車を模していて一度に500人以上運搬できる。 普段ならスカスカの列車だが、今日は子供たちがワイワイとはしゃぎながら乗り込んでいくために満席になりそうだった。 その後を追う形で俺ちたちも乗り込み、出発の合図があるまでになんとか椅子に腰かける事が出来た。 やがて、合図とともにゆっくりと列車は上昇していく。 地下700mから地上までを1時間ほどかけて、円を描くようなレールの上を走っていく。 昔の列車を模倣しているせいか窓が備え付けられているのだが、見えるのは地下コロニーを支える鉄筋群だけで風情も何もない。 ガタンゴトンガタンゴトン、と一定のリズムの音の間に誰かの笑い声が聞こえる。
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