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「(よりによって10年前の夢か…。)」
徐々に脳と体が覚醒していく。
太陽はちょうど真上に差し掛かっていて、まぶしいほどの光が木の葉の間から漏れ出ている。
眠い
が、そろそろ迎えが来る頃だろう。
帰投地点に遅れていけば、確実にわが上司のポニーテールはアホ毛を逆立ててお怒りになる。
怒ってもかわいいだけなのでいつもなら気にしないのだが、いかんせん疲れが溜まっている。
今はさっさと本部に戻って、こんな木の枝で編んだ寝床ではなくふかふかのベッドに横になりたい。
地面を隠している落ち葉を踏みしめながら、帰投地点である広場を目指す。
あと大体1kmあたりといったところで、腰に下げていた通信機からかわいらしい声が出てきた。
「コール。」
「はいよー、ウンブラちゃんですよー。って帰投中なんだけど、なんか用?」
小声で返す。昼とはいえ森は危険なのだ。
声を聞いて寄ってくるバカがいないとも限らない。
「珍しい。」
「俺だって早く起きることがあるさ。で、何か用があるのか?」
「モーニングコール。」
「そりゃあご苦労様。じゃあもう切るぞ。もう少しなんだ。」
「頑張って。」
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