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森が開けた先には、無線機を片手にもったロクスが立っていた。
広場に足を踏み入れると、彼女の肩がピクンと跳ねる。
「お疲れ。」
_場_の名を冠する彼女は、俺を感知することのできる数少ない人物だ。
「おう、ホント疲れたよ。」
自然と一緒にいる時間も長くなるわけで、近頃は殆どの活動を共にしていている。
親友と呼べるのは、後にも先にも彼女だけだろう。
「帰る。」
差し出された手を握り締めて目をつむった瞬間、フワッと宙に投げ出されたかのような感覚が襲う。
すぐに足の裏が固い床の感触を捉えるが少しふらついてしまう。
どうにもこの感覚だけは慣れられないのだ。
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