冒頭

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目を開くと、ロクスがじっと顔を見上げていた。 「どうした。顔に何かついているのか。」 「何も。」 そう言ってからもロクスは俺から目を離さない。 頭一つ分小さい彼女が表情を変えずに見上げてくる様子は、何とも可愛らしい。 うん、これはしょうがない。 抱きしめてしまっても仕方がないことなのだ。 だってロクスも嬉しそうだし、俺も気持ちいいし、ショートのさらさらした髪からはいい匂いがするし。 そう、たとえ上司が目の前にいたとしてもノープログレム。問題ない。 「問題あるよ!」 誰だこの至福の時間を邪魔する奴は。 声のほうに顔だけ向けると、アホ毛をぶんぶんと振りまわしている幼女がいた。 というか。 上司だ。
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