第壱話 邂逅

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「……おぅおぅ、来やがったな。『カラス』が」 男が嫌そうに呟き、懐に手を伸ばす。 「お命、戴きます」 声を発して、その人物はローブを剥ぎ取った。 「……子供!?」 ローブを纏った人物の正体は、白髪のツインテールの少女だった。 ローブの下は、迷彩服に迷彩柄の短パンを纏っている。 「『魔弾の射手(まだんのしゃしゅ)』!」 少女の右手に光が宿り、光はライフル銃に変化する。 そしてライフル銃を、男に向けて発砲した。 「おっと!」 懐に突っ込ませた手を引っ張り出し、素早く弾丸を弾く。 しかし妹子は、目の前で何が起きたのかさっぱりだった 「お前ら下がれ下がれ、巻き添え食らって死ぬぜ?」 男の手には、鍔のない小刀。少女が撃った弾丸を弾いたのはあれだろう。 部下たちはそそくさと男の後ろに周り、距離を取って行く、しかし妹子だけは動かなかった。 ていうか動けなかった。色んな意味で目を見張っているのだ。さもありなん。 その間に、二人は戦闘を開始する。 少女は別のライフル銃を召喚させ、発砲する。それに対し男は、小刀で弾丸を弾き、少女に素早く距離を詰めて行く。 「っ!」 今度は両手に拳銃を召喚。 その二丁の拳銃を男に向けて連続に撃つ。 「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる。ってか?はっ」 男は素早く銃弾をかわし、少女の目前まで近づく。 「甘ぇんだよ!」 少女の身体に向けて、掌抵を放つ。 その威力に、少女は後方まで飛ばされ、地面を転がった。 「おいおい、まだ能力は使ってねぇぜ?倒れるのは些か早すぎじゃあねぇ、か?」 男が、足に力を入れた時、少女は起き上がると同時に、対戦車ライフル銃を召喚する。 「……おぅおぅ、すげーもん持ってるなぁ」 男はのんきに言うのをよそに、躊躇いなく引き金を引く。 爆音とともに、砲弾が放たれた。 素早く飛んだ砲弾は、男の目前で爆発する。 間違いなく、男は攻撃を受けたと少女は確信したが、 「はン」 その一言で、妹子は思わずゾッとした。 煙が晴れると、男が立っていたそこには、黒い壁みたいなものが鎮座していた。 「な、なに……?」 少女もこれには驚いたらしく、対戦車ライフルから手を離す。 すると黒い壁は、地面に呑まれていき、男が笑みを浮かべて立っていた。 「はっ、俺をあの『滝川一益(たきがわかずます)』と知ってのことか?知らねぇンなら、死ねよ」
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