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「……おぅおぅ、来やがったな。『カラス』が」
男が嫌そうに呟き、懐に手を伸ばす。
「お命、戴きます」
声を発して、その人物はローブを剥ぎ取った。
「……子供!?」
ローブを纏った人物の正体は、白髪のツインテールの少女だった。
ローブの下は、迷彩服に迷彩柄の短パンを纏っている。
「『魔弾の射手(まだんのしゃしゅ)』!」
少女の右手に光が宿り、光はライフル銃に変化する。
そしてライフル銃を、男に向けて発砲した。
「おっと!」
懐に突っ込ませた手を引っ張り出し、素早く弾丸を弾く。
しかし妹子は、目の前で何が起きたのかさっぱりだった
「お前ら下がれ下がれ、巻き添え食らって死ぬぜ?」
男の手には、鍔のない小刀。少女が撃った弾丸を弾いたのはあれだろう。
部下たちはそそくさと男の後ろに周り、距離を取って行く、しかし妹子だけは動かなかった。
ていうか動けなかった。色んな意味で目を見張っているのだ。さもありなん。
その間に、二人は戦闘を開始する。
少女は別のライフル銃を召喚させ、発砲する。それに対し男は、小刀で弾丸を弾き、少女に素早く距離を詰めて行く。
「っ!」
今度は両手に拳銃を召喚。
その二丁の拳銃を男に向けて連続に撃つ。
「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる。ってか?はっ」
男は素早く銃弾をかわし、少女の目前まで近づく。
「甘ぇんだよ!」
少女の身体に向けて、掌抵を放つ。
その威力に、少女は後方まで飛ばされ、地面を転がった。
「おいおい、まだ能力は使ってねぇぜ?倒れるのは些か早すぎじゃあねぇ、か?」
男が、足に力を入れた時、少女は起き上がると同時に、対戦車ライフル銃を召喚する。
「……おぅおぅ、すげーもん持ってるなぁ」
男はのんきに言うのをよそに、躊躇いなく引き金を引く。
爆音とともに、砲弾が放たれた。
素早く飛んだ砲弾は、男の目前で爆発する。
間違いなく、男は攻撃を受けたと少女は確信したが、
「はン」
その一言で、妹子は思わずゾッとした。
煙が晴れると、男が立っていたそこには、黒い壁みたいなものが鎮座していた。
「な、なに……?」
少女もこれには驚いたらしく、対戦車ライフルから手を離す。
すると黒い壁は、地面に呑まれていき、男が笑みを浮かべて立っていた。
「はっ、俺をあの『滝川一益(たきがわかずます)』と知ってのことか?知らねぇンなら、死ねよ」
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