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今から数百年も前の事。
この土地には今と同様に広大な花畑が広がっていて、その中央には小さな村があった。
村の住人はその土地に住む精霊達と協力しあって生活していた。
平和な日々が続いていたある日、馬に乗って花畑を散策していた一人の村人が、どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえてくるのに気づいた。
泣き声を辿って花畑を進んで行くと、古く小さな祠が見えてきた。
馬から降りて祠の中を見るとそこには二人の赤ん坊がいた。
一人は黒髪の男の子。
もう一人は赤髪の女の子。
村人は躊躇いながらもその二人を村に連れ帰った。
どんな理由があったのか、二人は別々の家族の元で育てられた。
それから数年経ち、女の子は明るく社交的に育った一方で、男の子は無口で暗く、人と関わりたがらなかった。
余りにも人と関わりたがらなかったため、村人たちも少し気味悪がるようになっていた。
ある日、村人が男の子を預かっていた家族を尋ねた。
しかし扉を叩いても反応が無く、恐る恐る扉を開けるとそこには血まみれで死んでいる家族と、それを黙って見ている男の子がいた。
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