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村人の気配に気づいて振り返った男の子の黒かった目は深紅に染まり、刃物の様に長く鋭くなった手の爪からは血が滴っていた。
この話はすぐに村中に知れ渡り、村人達と精霊達は協力して悪魔と化した男の子を村から追い出そうと試みた。
計画を実行する前日、突然村全体が闇に包まれた。花畑は枯れ果て、人々は次々に命を失った。
完全に悪魔の姿となった男の子は、変わりゆく村の姿を上空から見つめていた。
周りの人が死んでいく中、赤髪の女の子だけはじっと悪魔を見つめていた。
女の子は首元から瑠璃色の石がはめ込まれたネックレスを取り出して力強く握りしめた。
そしてひとつ深呼吸したあと、女の子はゆっくりと、ある歌を口ずさみ始めた。
それは村人が誰一人として聞いたことがない子守歌だった。
女の子が歌い始めると同時にネックレスの石がまばゆい光を放ち始めた。その光はどんどん広がってゆき、ついには村中を包み込んだ。
花が枯れて荒れ果てた土地からは新しく花が芽吹き始め、死んだはずの人々は目を覚ました。
赤髪の女の子はいつの間にか天使へと姿を変え、目の前の光景を呆然と見つめている悪魔へと近づいて行った。
そして悪魔の額に自分の額を当てて囁いた。
｢一緒に眠ろう｣
その瞬間ネックレスが一層強い光を放ち、二人を繭の様に包み込んだ。
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