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「鎌田先生、どうなさいました?」
先生が付き添いで来るなんて、ただことではない気がして、急いで窓を閉めて二人に駆け寄った。
「この子が授業中に急に震えだして、額を触ったらすごい熱だったので見てもらえますか?」
鎌田先生の話を聞きながら、「大丈夫かな?ベッドまで歩ける?」と、下を向いてグッタリと項垂れている女子生徒の顔を覗き込んだ。
――あっ。
思わず、心の中の驚きが声に出そうになった。
その女子生徒は彼の彼女、紗耶香だった。
彼女は顔面蒼白という言葉がぴったりなほど青白い顔をして、全身は小刻みに震えていた。
「横にならせましょう」
鎌田先生が支えている反対側の肩を私が支えて、彼女をベッドまで誘導した。
熱を測ると、39度8分。
随分高熱だわ。
インフルエンザの時期は過ぎたはずだけど、ただの風邪にしては随分と高熱だ。
私はすぐさま氷枕を作り彼女の頭の下へ滑らせた。
「鎌田先生、この熱では一人で帰らすわけにはいかないので、至急親御さん呼んでいただけますか?」
「あ、はい、わかりました」
鎌田先生が言いながら扉に向かって踵を返したとき、ノックもなく扉が勢いよく開いた。
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