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あの日、彼はシャワーを浴び終えると、うちで昼ご飯を食べて、これといって何事もなく家へと帰った。
それから三週間が過ぎた。
一週間ずっと保健室に現れないと思ったら、突然にうちにやってきたり、好きだと言ったり、訳わからなヤツ。
――「もーもちゃん」
そして、今日もアイツは陽気に保健室へやってくる。
窓際の日当たりのよいデスクに座ったまま、椅子を回転させて振り返る。
「相川君、先生と呼びなさい。今日はどうしたの?」
今日は、いつもより素っ気ないセリフ。
それは、今日は彼の前に先客の生徒がいてベッドで寝ているからだ。
彼は私のらしからぬ発言に一瞬首を傾げて、静かに辺りを見回した。
ベッドのカーテンが閉まっていることに気付いた彼は、フッと薄く笑った。
う……、その悪魔のような不敵な笑み、また何か企んでるわね。
この表情をしているときの彼は、何をしでかすかわからないから恐怖。
私はゴキュリと息を呑んだ。
彼は案の定、足音を立てずにゆっくりと私の座るデスクへと歩いてくる。
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