107人が本棚に入れています
本棚に追加
他の生徒が寝ているため、いつもの怒声はあげられない。
それを良いことに彼は私の目の前にくると、これみよがしにニヤリと唇を歪めた。
「何、企んでるのっ」
彼にだけ聞こえるように小声で言うと、クスっと不敵な笑みが彼の口元に浮かぶ。
かと思うと、次の瞬間、彼は体を屈めてついばむように口づけをしてきたのだ。
――クっ!
思わず心の中で悲鳴があがる。あまりの驚きに体がカッチンコチンに固まる。
他の生徒がいるのに、普通チュウするかー?!
一応寝ている生徒への彼なりの気遣いなのか、いつもは「チュッ」てわざとらしく音を立ててキスをしてくるくせに、今日は無音。
それが、やけに厭らしく感じてしまったじゃないか。
「んっ」
寝ている生徒を気にしながらも、イケナイことをしている感覚と高揚感、それにくわえ彼の角度を変えての連続的な口づけに自然と吐息が漏れてしまう。
彼の蠢く舌から逃れようとするが、すぐに追いかけられて捕らえられてしまう。
まるで恋愛の駆け引きでもしているようなキスに、どんどん夢中になってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!