イタミ

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夢中になりながらも、薄目を開けて彼の表情を確認すると、切なそうに眉を下げている。 彼も私とのキスで私と同じように感じてくれているのだろうか。 舌同士の追いかけっこが終わると、彼は小さくチュと音を立てて私の唇を解放した。 彼の唇と私の唇の間には、まるでキスを惜しむかのように糸が引いていて、陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。 「もうっ」 呆れたように小声で言うと、彼のお腹を小突いた。 私はこの三週間、彼のキスを拒まなくなっていた。 彼とはキスだけの関係。 付き合ってもないし。 ましてや、彼には本命がいるのだから。 私は、その事実から目を背けるようになっていた。 だって、考えたら苦しくなるじゃない? 私は、彼に惚れている。それは、紛れもない事実。 あぁ、やだやだ。 それに、最近フェイスパックをしていないのにお肌の調子がすこぶる良い。 フェイスパックよりも強力な“彼”という美容液があるからだ。 この美容液、手放したくないな……。
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