107人が本棚に入れています
本棚に追加
夢中になりながらも、薄目を開けて彼の表情を確認すると、切なそうに眉を下げている。
彼も私とのキスで私と同じように感じてくれているのだろうか。
舌同士の追いかけっこが終わると、彼は小さくチュと音を立てて私の唇を解放した。
彼の唇と私の唇の間には、まるでキスを惜しむかのように糸が引いていて、陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。
「もうっ」
呆れたように小声で言うと、彼のお腹を小突いた。
私はこの三週間、彼のキスを拒まなくなっていた。
彼とはキスだけの関係。
付き合ってもないし。
ましてや、彼には本命がいるのだから。
私は、その事実から目を背けるようになっていた。
だって、考えたら苦しくなるじゃない?
私は、彼に惚れている。それは、紛れもない事実。
あぁ、やだやだ。
それに、最近フェイスパックをしていないのにお肌の調子がすこぶる良い。
フェイスパックよりも強力な“彼”という美容液があるからだ。
この美容液、手放したくないな……。
最初のコメントを投稿しよう!