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職員室での朝の会議を終えて、保健室へ向かっていた時、薄い灰色の廊下の先に彼の姿を発見した。
彼は、制服のズボンのポケットに手を入れて、友達と談笑しながらこちらに向かって歩いている。
あ……、相川君。
保健室以外で彼を見かけるのは初めてで、私の胸は瞬時にドキンと高ぶった。
こう考えると、今まで二年弱の間よく校内で会わなかったもんだ。
って、お互い気にしていなかっただけで、すれ違ってたのかもね。
それにしても、やっぱり彼は他の子よりも目を引く。
私が贔屓目で見ているのもあるだろうが、誰よりもスラっとした長身で、陽に透けて輝く茶色の髪に、カラーコンタクトを入れているかのような薄い茶色の瞳。
はぁ……、その容姿反則だし。
こちらへ近づいてくる彼を見て、密かに感嘆を漏らした。
そうこう考えているうちに、スマホサイズだった彼の姿がどんどん大きくなってくる。
彼が近づくにつれて、私の鼓動が弾みだす。
5メートル。
どうしよ、普通に挨拶くらいするべき?
4メートル。
いや、こちらから挨拶するなんておかしいか。
3メートル。
会釈くらいにしとくかな。
1メートル。
それとも、目で合図とかしちゃったりして。むふふ。
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