疑惑

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ホテルのエントランスを 抜けて行く琉惺と 近藤部長を見送りながら その場にいたスタッフ全員が 緊張した面持ちに 変わっている。 きっとここにいた誰もが あの二人の間に流れていた 妙な空気に気づいたのだろう。 「さ、みんな。 会場に移動して昨日の リハの時の問題点を 改善しちゃいましょう。 本番まで時間ないわよ」 私の言葉に他のスタッフも バタバタと動き出す。 けれど佐伯女史だけは 二人が出て行った エントランスをただ 揺れる瞳で見つめていた。
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