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「相変わらず、可愛いね」
頬に触れる手が髪へ移動すると、俺はフイッと顔を背ける。
「触らないで」
「つれないなぁ。ベル姫はご機嫌斜め?」
クスクスと笑い、俺を見下ろす相手にムッとして、目を合わせないようにしながら、小さな声で呟いた。
「……お前が来ないから」
「っ……今日は素直だね。そんなに僕のが、欲しいの?」
「……うん」
「なら、いつもみたいさ。可愛くおねだりしてみせて?」
「やだ……恥ずかしいもん」
「しょうがない子だなぁ。このままだと、ご褒美はおあずけだね」
我慢出来るの? と口の端を上げる相手を見上げ、不満たっぷりの表情をする。
「……ケチ。ディーたんのドS。早くしてよね。俺が我慢してるうちに」
「もう……ベル姫は欲しがりさんだねぇ」
「は・や・く」
「はいはい」
やっと相手が上から降りてくれると、俺も体を起こし、何度もやるうち得意になっていた縄抜けでリボンを解いた。
さすが、ディーたん。
毎回、縛り方違うのに手加減してくれたんだね。俺への愛かな? なんてね。
「ベル姫。はい」
薄桃色の髪の男――ディーたんは、机に置いてあったバッグから、封筒を取り出した。
「ありがと。ディーたんは頼りになるね!」
彼の名前は、ディータ・ハルナイト。
赤の国の情報屋であり、俺の友達。
「ベル姫と萌えのためなら、僕はなんでもするよ?」
「えへへ。ディーたん素敵! イケメン! 腐男子っ!」
「ふふ。褒めても写真しか出ないよ」
ただし、腐ってます。
あ、濃厚な写真をいただきました。
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