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「そ、そういえば、花が綺麗に咲いてるの、パウルのおかげだよね! 俺、この場所好きだから、いつもありがとう!」
落ち込ませてしまったかと思い、慌てて早口になりながら、俺は日頃のお礼を言った。
すると、クスッと笑ったパウルに頭を撫でられる。
「坊っちゃん。こんな、じいに気を使わなくていいんですよ」
確かにエリノアの花嫁姿は見たいと思ってますがねぇ、と彼は楽しそうに笑っていた。
うん、俺も見たいな。エリノアちゃんの花嫁姿。
それで、ディーたんに写真を撮ってもらうんだ。
「それと、こちらこそありがとうございます。坊っちゃんに綺麗だと言われて、花達も喜んでいるでしょう」
「パウルが毎日お世話してくれてるからだよ。俺、こんなに綺麗な花、見たことないもん」
「ほほ、庭師になって正解でしたねぇ」
パウルは笑みを浮かべ、傍に置いておいたらしいジョウロを持ち、花達に水をかけていった。
「ねー、パウルって、どうして庭師になったの? 元々騎士だったんだよね?」
「えぇ、そうですよ」
ずっと、疑問だったことを問いかける。
普通なら、騎士が庭師になることなんてないんじゃないか。
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