3。

5/18
前へ
/241ページ
次へ
「…………」 「…………」 あ、もしかして、聞いちゃいけないことだったかな。どうしよ。おじいさまの沈黙が怖いんですけど。 「いえ、別に構わんのですが」 「え……もしや」 「顔に出ておりましたよ」 「やっぱり……」 そんなに分かりやすいんだ……。 しょんぼりしちゃうんだからね! ……うん、俺キモいな。 まぁ、それはともかく、話の続きを聞こうか。 「あれは確か、坊っちゃんがお生まれになって少し。2歳ぐらいの時ですかねぇ。私と坊っちゃんは中庭で遊んでいたのです」 「んー、覚えてないなぁ」 「本当にお小さかったから、覚えていなくて当然ですよ」 ジョウロの水がなくなると、俺を促し近くのベンチに一緒に座った。 「当時の庭師はとても腕が良く、小さな坊っちゃんも中庭が大好きでした」 「へぇ……」 「しかし、当時の庭師が亡くなると、この場所は荒れ果ててしまいましてねぇ。坊っちゃんは悲しんでおられました」 荒れ果てた中庭かぁ……。今の綺麗な中庭がなくなったら、想像しただけで悲しいな。 「適任な庭師もいなかったので、このじいが一肌脱ぐことにしたのです」 「おぉ!」 パウルが脱いじゃったの!? 10年以上前だから、50代だよね! うあああ、おじさまの体とかあああ! あ……そういう意味じゃない? 分かってますとも。 「騎士を続けるのも大変でしたので、いい機会だと思い、庭師に転身したというわけです」 「そっか」 でも、庭師が生きていたら、パウルは騎士を育てる側にいたと思うな。 .
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加