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結局、目が冴えてしまい、二度寝することはなかった。
朝食を食べ終わると、午後のフォル先生の授業まで暇になったので、カイの所に行こうと思います。
「しっかりやってるかなー?」
俺がやって来たのは、訓練所と言われる場所。
まぁ、訓練所と言っても、何もないただ広い場所なんだけど。
城で働く騎士達が、剣術を磨くには丁度良いと言って、そこで訓練している。
「――っ!」
「隙だらけだぞ!」
「は、はい!」
「相変わらず、スゲーな。あの人達は」
「あぁ、俺達じゃ、相手にならねぇもんな」
金属同士が擦れる音と、騎士達の声が聞こえてくると、俺はひっそりと影から様子を窺った。
あぁ、やってるねー。
「カイ! 次は私の相手をしてくれないか?」
「おう……じゃなくて、はい!」
はぁ、わざわざ言い直すなんて、上司には逆らえないんだね。
カイってば、可愛いじゃないか。……ゴホン。
まだ話してなかったけど、カイは本来、騎士見習いである。
趣味がお菓子作りの爽やかな親友ってだけじゃありません。わんこでもお母さんでもないのです。
「……おや、そこにいるのは、ベル王子?」
「え……ベル?」
「ふぁいっ!?」
か、噛んだ。
恥ずかしいですね、ふぁい。
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