3。

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‐‐‐‐‐ カイside. 訓練の時、突然現れたベルに驚いた。 兄貴は気づいてたのに、俺は気がつかず、まだまだだなと思った。 勝負についてもそうだ。 兄貴は、恐らく手を抜いていた。 それでも、勝つことが出来なかったんだ。 ……ベルの前で、勝てなかった。そのことが自分自身を苛立たせた。 「……はぁ」 ベルに渡すためのクッキーを作りながら、小さなため息を吐く。 もはや趣味になっているが、最初はベルの喜ぶ顔が見たくて始めたお菓子作り。 当初は、大切な王子で親友であるベルが笑ってくれることが嬉しいだけだった。 けど、いつしかベルが俺だけを見てくれるようにと思いながら、作っていたことに気づいた。 もちろん、お菓子を作ることが楽しいというのもあるのだが。 「あとは、冷ますだけだな」 オーブンからクッキーを取り出し、冷めるのを待つ。 今いるのは厨房だが、料理長達は休憩に入り、俺以外は誰も居ない。 わざわざ居ない時間に来てるから、当然だけどな。 「…………」 ――いつからだったか。 ベルのことを親友以上に見ていたのは。 いつの間にか目で追っていて、傍に居たくて、ベルに近づく人間を追い払おうとして。 こんなドロドロした独占欲を親友だと信じているベルに見せたくない。 ベルに気持ちを伝えれば、傍に居られなくなるだろう。 そうなるぐらいなら、俺はずっと親友のままでいい。 .
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