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おやつには丁度良い時間帯。
いつも通り、ベルは昼寝をしているだろうと思い、クッキーを持って中庭へ向かった。
「おーい、ベルー?」
名前を呼んで辺りを見渡すと、木陰で寝ているベルの姿が見えた。
「…………」
ベルは静かに寝息をたてていて、起きる様子はない。って、おいおい。
「襲われたら、どうするんだよ……」
「ん……」
「…………」
気持ちよさそうに眠る姿に、呆れるしかない。
毎回、理性を総動員させて起こしている俺を褒めてほしい。
ベルの傍に座り、柔らかい髪に触れて撫でる。
猫のように擦り寄ってくるのが可愛くて、撫で続けてしまう。
「……クシュッ……」
「風邪引くな……」
小さくくしゃみをしたベルを見て、このままではいけないと思い、少しでも温かくなるように膝枕をしてやった。
世話を焼いてしまうのは、俺の性格だな。
眠るベルは、体を縮こまらせながら、俺の服をギュッと掴んで幸せそうな顔をしている。
「……ベル」
スッとベルの白い頬に触れた。
そのまま手を滑らせ、親指で薄く開いた唇に触れると、ふに、と柔らかい感触にドキッとする。
……ヤバいかも。
「無防備過ぎるお前も悪いんだぞ……」
――好きだ。
その、言葉に出せない気持ちを思いながら、引き寄せられるように唇を重ねた――。
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