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さっきから、ヘンゼルに心を読まれている気がするけど、こんな店の店長ならなんでもありな気がしてきた。
なので、敢えて突っ込まない。
「俺達が久しぶりの客だって言ってたけど……」
「うん、そうだよぉ。ふひっ、君達は半月ぶりのお客さん……いや、1ヶ月ぶりのお客さんかなぁ?」
カイが尋ねると、不気味な笑いとともに答えが返ってくる。
そんなんでよく店が潰れないな、と逆に感心した。
こんな魔きょ――ゴホン、特殊な雑貨屋でも、お客さんが来るんだなと。
「まぁ、このお店は趣味だからねぇ。売り上げは気にしてないんだぁ」
「へぇ」
「…………」
じゃあ、本業はなんだろう、と気になるが、俺はなにも聞かない。怖いから。
代わりに話してくれるカイがいてくれるから、俺はずっと黙ったままである。ヘタレと言われようが、苦手なものはしょうがないと思うんだ。
せめて、店内がもう少し明るくなってくれればいいんだけど……。
カイにくっついていた手を服の裾から、腕へと移動させる。
息を飲む音が聞こえたことで、やっぱりカイも怖いんじゃないかと考えた。
ならば、話は早い。
すぐさまこの店を出るべきだと。
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