627人が本棚に入れています
本棚に追加
‐‐‐‐‐
ベルside.
「――ん」
ピクッと指先が動く。
ひんやりした空気と固い床に眉を寄せた。
目を開けてみると、周りは薄暗くて一瞬びっくりした。また、ヘンゼルの店かと思ったし。
「久しぶりに誘拐されたなぁ……」
体を起こそうかと思ったけど、両手両足が縄で縛られていたので止めた。
それに、変な薬を嗅がされたのか、頭が痛くてぼんやりするから、寝ていた方が楽なんだよねー。
「ここ、どこだろ」
唯一自由な首を動かすと、天井付近に鉄格子をはめ込んだ小さな小窓があった。
そこから見える空と明るい月のおかげで、今が夜だということが分かる。
っていうか、ここってよく見れば、地下牢的な場所じゃないですか。
俺、人生で初めて入るなぁ。これからも入る予定なかったんだけどねー。
「…………」
こういう時って、慌てた方がいいのかな? でもなぁ……。
そういえば、カイは大丈夫だったかな。
きっと、責任感じてるだろうなぁ。お母さんだし。
まぁ、カイは無事だと思うことにして、早く助けに来てくれないかな。
結局、小説買えなかったし。ふふ……あとで覚えてなよ、誘拐犯さん?
それにしても、ディーたんのばか。
絶対、俺の居場所知ってるくせにぃ。
そんなに焦らさないでっ……早く、早くきてよぉっ! ……なんてね。
「…………お腹すいた」
.
最初のコメントを投稿しよう!