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「このままじゃ、食べれないんだけど。縛られたまま食べろって言うの? 俺、Mじゃないから喜ばないよ?」
「俺が食べさせてあげるから、問題ないじゃん」
「……問題ある」
「えー」
だって、あーんはカップルがやるから萌えるのであって、俺がやっても萌えない! しかも、俺がされる側なんてっ!
俺が悩んでいると、ちょうどお腹が鳴ってしまった。
「……背に腹は変えられない、か」
「あ、諦めた?」
「…………ふん、早く寄越しなよ。俺にあーん出来るなんて、レアなんだからね!」
「えー、どうしよっかなぁ」
「お願いするから、早く食べさせろ下さい」
「はは、何か滅茶苦茶だねー」
むむむ、こんなに頼んでるのに、なんという仕打ち。王子の俺を舐めてるね?
いくら王子扱いされなくても、俺は立派な王子!
あとでどうなっても知らないよ? 命乞いしてももう遅い!
さぁ、俺のもとに跪け、愚民がああぁ!!
「――あー、んっ……」
「美味しい?」
「んむ、まぁまぁ」
まぁ、ヘタレな俺が言うはずもなく。
美味しく料理を食べさせてもらいました。えへっ。
「(餌付けしてるみたい。可愛いなぁ)」
まさか、男がそんなことを思っているとは、夢にも思わなかったけどね。
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