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食べさせてもらっている間、暇だったので、色んな質問をしてみた。
誘拐の慣れか、余裕があるらしい。嫌だねー。
この男の緩い空気も、俺を警戒させない効果があるみたいだけど。
「それで、どうして誘拐なんて? お金? 権力? それとも、びーえる布教? 俺としては、3番目を希望するけど」
「俺は腐った世界は遠慮したいなぁ。偏見はないけどねー」
「おお、話が通じる。大丈夫、ノーマルでも堕ちる時は堕ちるから。ぜひ、こっちの世界に来てね」
「丁重に遠慮させてー」
「だが断る」
ダメだ、話が脱線してしまう。
これが腐った者の運命か……。
「ふぅ、しょうがない。じゃあ、名前は?」
「まだ、秘密ーってことでいいんじゃない?」
「えー」
秘密なら、なにか良い名前を考えて呼んであげようではないか。
そうだね、チャラ男って感じもするけど、実際は微妙だから、ユル男にしようか。よし、決まり。
「じゃあ、ユル男さん」
「ユル男さん?」
「名前ないよりいいでしょ?」
「……まぁ、いっか」
いいんだ……。我ながら、すごいあだ名つけたな、と思ったけど。
面倒だし、細かいことは気にしないでおこう。
よろしく、ユル男さん。
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