第2話

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「今ごろ、好きって認めるんだ?」 私は今まで時季に「好き」と言った事がない。 好きなのに、時季のすべてに魅了されていたのに、意地を張って、素直になれなかった。 「好き」だと言えば、時季が離れて行きそうで…、怖かった。 「俺のこと好きなんだろ? なら、好きって言えよ。 自分だけのものになってって、ちゃんとそう言え!! 簡単に俺のことを、諦めようとするんじゃねえっ」 初めて時季から激しい怒気をぶつけられ、迫力に気圧される。 「…言えよ」 燃えるような眼差しに射ぬかれて、怖くて息が止まりそうになる。 本気で怒る時季を見たのは初めてだ。 「チッ…」 こんなに怒らせてしまっても、あなたが好きだと伝えられない。 臆病になって口をつぐんだままの私に、時季が苛立ちと共に舌打ちをする。
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