第1話

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恋愛に現(うつつ)を抜かすなんてバカらしい。 ずっと、そう思っていた。 時季とそうなるまでは――――― 私と時季は同期で、同じ会社に勤めている。大学も同じだった。 在学中から時季はかなりの有名人だった。 単なるアイドル的な存在ではなく、強烈な心酔派とアンチ派がついている独特な存在で (時季ってさ、別れた女が目の前で自殺しようとしてたのを笑いながら見てたって) (優しそうに見えてタチ悪いよ、あいつ。 「死ねばよかったのに」って言ったって) (関わらないほうがいい) いつも涼しげな笑みを浮かべて (でもさ、それでもなんでか目が引き付けられるんだよ) (わかるー) それが時季だ。
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