第2話

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「黒澤さん?」 名前を呼ばれてハッとする。 いけない、仕事中なのに。 「どうしたの?大丈夫?具合悪い?」 「大丈夫、お昼を食べた後だから眠くなっちゃって」 笑みと一緒に応えると「あー、わかる」と、笑顔で同意してくれた。 「眠気覚ましに、御手洗に行ってくる」 あの日、一言だって、あの女の言うことを否定しなかった時季。 あんなの平気だ 御手洗へ向かう廊下を歩いていると、前から時季が私のいる方向へと歩いてくる。 平気なんだから 思わず立ち止まってしまった私の横を、時季は気にも留めずにスッと通り過ぎる。 私のほうこそ、時季を避けるつもりだったんだから だから、こんなことで傷ついたりしない 「…と…き…」 傷つくわけない。私はすぐに元通りになるんだから
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