第7話

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足音が遠ざかったのを見計らい、 あたしは常務の方へ顔を向けた。 彼が非常階段に続くドアに手をかけた。 あたしはその背中にむかって 「思い出を取り戻しに行くだけ。  それだけ…だから」 ポツリ、呟く。 常務は振り返ることなくドアをしめ、去っていった。 彼には今のは聞こえていない。 わざと、聞こえないような音量で言ったから。 『二人だけの同窓会だと思えばいい』 そんな都合のいい囁きを自分の脳へ必死に送り込む。 結局、 あたしは常務にはめられ、惑わされているのかもしれない。 全て、 彼の思惑通りに動かされているのかもしれない。 そう感じつつも、そんなこんなで抗えないのだ。
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