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ざわりと足元の葉が揺れる音がした。
どれくらいここにいたのだろうか、目を開けるとさっきまで漆黒に包まれていた世界に光が差し込み、また一日が始まろうとしていた。
そよ風の吹く、気持ちの良い朝……なんだろうな。
辺りには同類の気配はなく、虫や鳥たちの賑やかさだけが頭に響いていた。
ふと、誰もいないことをもう一度確認してから、両腕を広げ思いっきり空気を吸い込んでみた。
「……ごほっ」
慣れないことをしたせいか、少し咳き込むだけて終わる、……情けない。
昔は俺も、こんな風に深呼吸して、気持ちいいと感じてたのだろうか。
夜の闇が陽の光に侵食されていくところを見て感動していたのだろうか。
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