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開始の合図とともに一人の隊員が穴の中へ降下して行った。
ロープに身を任せながら降りる隊員は仕事で無ければこんな気持ちの悪い穴の中に入る事はないし、明日は彼女の誕生日だと言うのに緊急の出動…彼は内心悪態をつきながらまだ見えてこない地面を目指している。
中は予想より深く、地面に到着して天井を見ると入り口が針の穴の様に小さい。
FNP90(サブマシンガン)の安全装置を外し懐中電灯を点け辺りを警戒する。
彼と同じようにロープで仲間4人が降下に成功し同じく辺りを警戒した。
このサブマシンガンは人間工学に基づき設計されており、反動も少ない。
コンパクトで連射がきく優れものだ。
さらに今回の作戦の様に限られた空間では大いに力を発揮するだろう。
男は無線のスイッチをいれた。
「第一班、作戦を開始します。」
銃に着けたライトを一斉に点灯し、歩く。
辺りに響くのは自分たちの足音とどかで落ちる滴の音。
呼吸する事すら慎重にし、さらに奥へ進むと洞窟がいくつも分岐していた。
「まるで迷路だなぁ。
どうする?」
隊員の1人が静かに話す。
「風が右の洞窟から吹いているようだ。
そこを進んでみよう。
まぁ何かが出た所で蜂の巣さ。」
周りの男たちは笑った。
「そんな事より良かったのか?」
すぐ横から話しかけられた隊員は頭を傾げた。
「なにが?」
「いや、みんなの憧れ綺麗で強い双葉さんだっけ?
明日誕生日だったんだろう?
お前もついてないなぁこんな日に出動なんてさ。」
「仕事だから仕方ないさ。
まぁ~これが終わったらあいつにプロポーズするつもりなんだぜ。」
「うわぁ死亡フラグだわ。」
ほかの3人もくすくす笑った。
「ったく、ほらそろそろ奥まで入ったぞ。
戦闘準備。」
5人は先ほどの和やかな表情から引き締まった冷酷なものへと変わった。
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