プロローグ

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5人は姿勢を低くしながら静かに迅速に進んで行く。 次の分岐をとりあえず右の洞窟を進んで行くと真っ黒な壁が見えた。 「おかしいな…。 風は確かに吹いているように思うが。こんなすぐに行き止まりなのか?」 再びライトを当てるが真っ黒く壁にしては滑らかなで若干黒光りしている。 彼は何か違和感を感じ、ライトを左右に揺らすと赤黒い洞窟の壁が目に入った時に気が付いたのだ。 「ま、まて! ライトを当ててるのに黒いんだぞ! それは壁じゃない!」 「まさか! か、構えろ!」 5人はサブマシンガンを構え、警戒した。 黒い物体は体制を変えているのか上下に揺れているようにも感じた。 「おい…何だあれ? 動いてるぞ! 1匹じゃない、10…いや、もっといるぞ!」 「お前は下がって無線で隊長に報告だ! 行け!」 1人の隊員が無線機を持って離れていくのを見送らずに黒い物体に銃口を向ける。 「おい、さっきのフラグはどうやって折るんだ?」 「ここは俺に任せて先に行け…とか?」 「それは補強だ。」 その言葉と同時に黒い物体は波の様に彼らに向かって迫ってくる。 「う、撃て!!」 銃弾が休まずに放たれるが、勢いは止まらない。 「緩やかに後退する。 とにかく撃ち尽くせ!」 4人は弾幕を張りながらゆっくり下がるが、右側の弾幕が薄れたのを感じた彼はチラッと視線を送った。 だがそこに居た筈の隊員2人がいない。 そこには夥しい血だまりがあった。 そして彼は悟ったのだ。 もう助からないと 「アズナ…ごめん。」 彼は手榴弾のピンを抜き、ただ叫んだ。
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