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夕日が射し込む誰もいない教室
高校に入学してから3ヶ月と言えばグループや友達ができる時期だ。
だが男子学生は一人ムスッした顔でシャーペンの芯を出すために小刻みに指を動かしている。
授業のレポートを提出しなけれな帰れないと言うのについ居眠りしまったのだ。
彼は至って真面目な生徒だ。
(気持ち良かったから寝過ぎちゃったんだよね。
気付いたら1人だったんだもんな。
ってか高校入ってボッチになるとは思わなかった。
厳密には一人だけ話す奴はいるが…あいつは敵だ。)
「チッ…こんなのは『以後、気をつける所存でござる』とか書いとけば良いんだろう?
あっ!名前は書かなきゃマズイよな。
佐久間 亜貴(サクマ アキ)っと。
これで良いか。」
アキはかなりイライラしているようだ。
生徒指導という名の下に学校の世間手やら印象やら進学率などの数字を出し、提出しないと成績という名の人質に泣き寝入りだ。
気に入らない…この言葉が彼の表情から見て取れる。
ほとんど空白のレポート用紙に名前だけを書き残し、アキは席を立った。
(書き終わったんだから勝手に教室から出ても怒られないよな?トイレに行った教師が悪い!)
アキは喉の渇きを潤す為に一階の自販機まで行く事にした。
誰も居ない廊下と階段。
(このまま人が居なくなったら寂しいんだろうか…。
そんな事無いか…どうせ人はみんな独りなんだ。
友達とか仲間なんてまがい物にすぎない。
結局の所、頼れるのは自分自身って事だ。)
自販機の前に到着早々、お金を入れ、ボタンを押すとガコンと音と同時にパックが取り出し口に落下した。
彼の性格が歪んでいるのは思考から分る。
彼は信頼とかリア充とかリア充が大嫌いなのだ。
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