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そして、いつも"彼女"が来る時間になる。
俺はいつもの様にベッドの上で"彼女"が来るのを待つ。
起こしに来たら、何て言おうか…。何を話そうか…。と考えている俺の頭の中に、階段を昇る音がした。
―トン…トン…トン…―
彼女の"姿"が見たいと願う俺に響いた声を聞いた瞬間、絶望を感じた。
―コンコン…―
「夏樹、起きなさい。学校行く時間よ。下に千春ちゃんいるから。聞いてるの夏樹?入るわよ?」
―ガチャ…―
「あら、起きてるんじゃない…て、なに朝から絶望感に満ちた顔をしてるのよ?」
(もぅ…最悪である…。毎朝の俺の楽しみが…。)
「早く降りて来なさいねー」
そう言い残し母は下へ降りていった。
「はぁ…」
俺は溜め息をつきながら、暗い気持ちで新しい制服へと袖を通した。
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