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「みんなおはよう」
泣きじゃくる一樹をシラケた目で見ていると、何とも爽やかに沢木くんが登場した。
少し汗ばんでいて、タオルを首にかけている。
「おはよう沢木くん。朝練か?」
そういや沢木くんってサッカー部だったな。
「ああ、そうだよ。冬っていってもやっぱ動くと暑いなぁ」
その光る汗が、沢木くんだとより一層輝いて見える。素晴らしいオプションだ。
「そうだ累、昨日今度提出の宿題しててさ、分からない問題があったんだ。教えてくれない?」
「数学のやつ?」
「そうそう」
俺今度の数学、当たるんだよなーと沢木くんは苦笑いした。
「ああ、いいけど」
「ありがとう。恩に着るよ」
累は自分の席に戻り、数学のノートを取り出して説明をし始める。
沢木くんは真剣な顔でそれを聞いていた。
なんかあのコンビ、見てると心が安らぐなぁ…
沢木くんは完全に吹っ切れてるし、2人の間には別に特別な何かがあるわけじゃないが。
「俺はですね、2人が友達以上の関係にならないのが非常に遺憾であります輝隊長!」
「あれはあれで、現実には起こり得ないから二次創作へと妄想を膨らますための良い要員だと思うぞ一樹二等兵」
「えっ、俺二等兵なの?」
爽やか×元不良に思いを馳せていると…
「おら、席につけよー」
ともちゃんが教室に入ってきた。
「キャーッ!!先生!」
「カッコイイ!!」
「抱いて下さい!!」
「ホストー」
「お前らうるさい。あと輝、お前ホストっつったろ」
毎度お馴染みのやり取りで、今日も一日が始まった。
そして何も特別なことが起こることなく時間は進み、放課後。
「輝、生徒会室行こうぜー」
一樹が鞄を持って俺のところへとやって来た。
「30分遅れて来いって会長に言われてんだけど」
「あ、そういやそうだっけ」
忘れてた、と言いながら一樹は俺の前の席に腰かけた。
「あれだよなー。もうすぐ抱きたい&抱かれたいランキング」
「もうそんな時期か」
「つーことはだぞ?生徒会メンバーが入れ替わる」
「そういうことになるな…」
ここの学園はとにかく変わってる。
抱きたい&抱かれたいランキングがそのまま役員メンバーへと反映されるのだから。
それに任期は1年で長い。
それもこれも、大抵の3年生は付属の大学に進むため、試験勉強をそこまでする必要がないかららしい。
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