HAPPY BIRTHDAY

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「次は誰が会長になるんだろうなー」 「……俺たちって、役員入りの可能性あるよな」 今はまだ補佐の立場だが、このままいけば可能性は十分ある。 「うわ!確かにそうだな…。輝、もしランキング入りしたら生徒会入る?」 「うーん…どうだろうな。入っても良いかなって思ってる」 「マジ?」 ここに入学した当初は絶対嫌だと思っていたが、こうして補佐で働くうちに嫌悪感も消えていった。 それに意外と仕事もこなせるし、何より俺自身、あの空間が心地良いとさえ感じている。 もうすぐ会長や副会長、飛沫先輩がいなくなると考えると、少し寂しい。 「輝がいるんだったら、俺も生徒会入りたいなぁ…」 「何だかんだ言って俺たち、腐れ縁だよな…」 「腐ってるだけに?」 「誰が上手いこと言えと」 入学当初から、一樹とはつるんでいた。 この金持ち学園には珍しく、一樹は一般的常識も備えており接しやすかった。 「…最初にできた友達が一樹でよかったって、今じゃ思う」 ポツリと、独り言のように言葉が口をついて出た。 すると一樹は俺を見たまま、徐々に頬を染めていく。 「………輝さんの貴重なデレ…心臓に悪い…」 「何か俺がツンデレみたいな言い方するのやめろよ…」 「だって輝、俺に対してはいつも厳しいじゃん…」 「俺は変態に対して厳しいだけだぞ」 保険医しかり、伊勢原くんしかり。 「そうナチュラルに、俺を変態のカテゴリーに入れないでくれ…」 「どこが間違ってるのかさっぱり分からん」 「ひどい!」 そんなくだらないやり取りをしていると、あっという間に30分経っていた。 「おっと、そろそろ行くぞ」 「イエッサー!」 鞄を持ち、俺たちは立ち上がった。 何度見てもこの重々しい豪華な扉には気が引ける。 生徒会室と書かれたプレートの扉の前で、いつものようにカードキーを通す。 ピピッと解除の音がして、俺は扉を開けた。 「……?」 外はまだ、そこまで暗くない。 西日が差しこんでむしろ眩しいくらいだというのに、生徒会室は真っ暗だった。 「なあ、暗すぎて何も見えな――――」 一樹に話しかけようと振り返った、そのとき。 ドンッ 背後から一樹に押され、俺はバランスを崩して生徒会室に倒れこんだ。 「おい、何すんだ!」 抗議の声を上げた途端、パンッと大きな音がした。
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