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ブブッとポケットの中の携帯が振動した。
開くと、そこには一件のメール受信の文字。
”輝ちゃん、黙ってて偉かったね”
「――――!!」
”もしあそこで君が全てを話して、また話がややこしくなったら…僕は彼の家を潰していたところだよ。君が養子に来るのは遅かれ早かれ確定事項だけど、できることなら早く来てもらいたいからね”
柊からのメール。
まるで、先ほどあったことを見聞きしたかのようなメール。
盗聴器でも仕掛けられてるのか…?
プライバシーなんてあったもんじゃない。
”この際だから言っておくけど…。今回の件は他言無用だからね。正義感の強い君のことだから誰にも話さないとは思ってるけど…。うっかり友人の入れ知恵で今日みたいに退学を取り消すような発言を突然しかねないし。話せばどうなるか……わかるね?”
メールはそこで終わっていた。
俺の行動を支配するためのメールに、胸糞悪さを感じる。
結局、あいつは俺から根こそぎ仲間を引き剥がして俺を孤独にする。
いつもそうだ。
俺の傍にいるのは自分だけだということを実感したい。
独占欲の塊だ。
………でも俺が、そんなことも予測せずに先輩たちに助けを求めたなんて思うなよ。
あの人たちは、俺のせいで自分の身に危険が及ぶと分かっていて尚俺の味方でいようとしたんだ。
俺はそんなあの人たちを、心から信用している。
俺が黙ってこの学園を去ることで、一時は裏切る形になってしまう。それで愛想を尽かされても仕方ないと思う。
けど……
何とかして、俺の今後の足取りを清和先輩たちに伝えなければならない。
直接話すのでは駄目だ。どこから柊が監視しているか分からない。
何か……何かいい方法があるはずだ。考えろ。
俺はまだ、諦めていない。
翌日、俺の想像の斜め上をいく事態が起こった。
1人の生徒が、退学になったのだ。
「………なんだって?」
今しがた、一樹からの着信により聞こえてきた言葉に俺はポカンと口を開けた。
『だから、今までの輝の噂を流してた犯人だよ!』
俺の噂を流してた犯人が発覚した。
その生徒は、夜中に掲示板に俺の情報を貼り付けようとしていたらしく、そこを風紀委員に見つかったらしい。
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